2014年09月24日 00:27

「Syro」リリース記念 - リミックス集に入ってないAphex Twin日陰のリミックス作品9本

Syro Aphex Twin「お前の腐った卵巣を売れ」。

[音楽/レビュー]
タイトル : Syro
アーティスト : Aphex Twin
レーベル : Warp
リリース年 : 2014/9

Aphex Twin名義では「Drukqs」以来13年ぶりとなるRichard D. Jamesのニューアルバム。

期待通りの素晴らしい内容です。メロディやリズム、音色など、アルバム全体を通じて気難しい様子があまりなく、リチャードの奥さんや子供達などの家族の楽しげな声が聴こえてきたり(最後の曲「aisatsana」は奥さんへ捧げる曲だったり)、かなり聴きやすくて親しみやすいアルバムだと感じました。DJ出演時に披露済みの曲が多く収録されているのもあってか、どの曲もドラムの音がクラブ映えしそうなズバっと抜けの良い現代的な音で、大音量で聴いたらさらに気持ちよさそうです。この辺を時代に合わせて細かく調整してくるところなんかもAphex Twinの凄いところですね。

と、まぁ、Aphex Twinが何かした時くらいしか最近は更新の無いブログをやってる人が、ああだこうだいろんな角度からこのアルバムを褒めちぎってもしょうがないので、「Syro」リリース記念ということで、Aphex Twinのリミックス作品集「26 Mixes for Cash」に未収録のリミックス作品をYouTubeから集めて貼っておきます。これを機会に振り返ってみてはいかがでしょうか。

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■ Jesus Jones - Zeroes & Ones (Aphex Twin Construction #1):1993年

「26 Mixes for Cash」に#2のほうのリミックスが入っていて、こっちは#1。#2よりも少しリズムの音が前面に出ています。このリミックスが入ったJesus Jones「Zeroes & Ones」の日本盤シングル(1993年7月リリース?)がAphex Twinの曲が収録された初の日本盤CDだったと記憶してます。

■ Seefeel - Time to Find Me (AFX Slow Mix):1993年

Warpと契約した初のギターバンドSeefeelがWarpと契約する前にToo Pureから出していたたシングルに収録。「26 Mixes for Cash」にはこの曲の別ミックスが収録されています。後にSeefeelはリチャードに誘われてRephlexからアルバムを出しています。

■ Soft Ballet - Sand Lowe (Polygon Window Remix):1993年

日本のグループSoft Balletのリミックス盤「Twist And Turn」に収録のPolygon Window名義によるリミックス。Soft Balletはリミックスアルバムを3枚くらいだしてますが、どれも人選が渋いですね。

■ Saint Etienne - Who do you think you are (Quex-Rd) :1993年

「26 Mixes for Cash」には「Your Head My Voice」というリミックスが入ってますが、こっちはそれが入ってるシングル「Hobart Paving/Who Do You Think You Are」に収録の別曲のリミックス。

■ Beck - Devils Haircut (Richard's Hairpiece):1997年

提出が締め切りに間に合わなかったそうで、このリミックスは「Devils Haircut」のシングル盤には収録されず、次の「The New Pollution」に収録されました。

■ DJ Pierre - Box Energy (Remix By AFX):2001年

元祖アシッドハウスDJ Pierreによる88年の作品のリミックス。唐突にリチャードとTom Jenkinsonの二人が設立したレーベルMEN Recordsから、唐突にリリースされたシングル「2 Remixes By AFX」に収録。

■ The Bug & Daddy Freddy - Run The Place Red (AFX mix):2003年

MEN RecordsからリリースされたThe Bugの曲のリミックス。結局MEN Recordsからは「2 Remixes By AFX」と、これが入ったシングル「Smojphace EP」の2枚だけが出ました。Tom Jenkinsonのリリースはいずこへ。The Bugは昔Rephlex等から、今Ninja Tune等から出しているイギリスのアーティストです。

■ AFX - boxenergy4remix1:2005年

上掲のDJ Pierre「Box Energy」の別リミックス。Rephlexがオンラインショップでデジタル配信をやっていた2005年頃に、そこで独占配信されてました。何らかの形であのオンラインショップが再開されることを願って近所のお寺で百度参りしています。

■ Wagon Christ - Sci Fi Staircase (Tahnaiya Russell Remix):2006年

楽器雑誌企画のWagon Christの曲のリミックス大会にこっそりと参加したら優勝してしまったという大人げないエピソードが光るリミックス。

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ネットの情報も頼りにしつつ、思い出せる限り並べてみましたが、他に何か肝心なものが抜けてるかもしれません。最近はロックのアーティストのシングル盤に電子音楽の人の作った踊るに踊れない変なリミックスが入っていることがめっきり無くなってしまって、なんとも寂しい限りです。そういう意味では90-00年代は素晴らしい時代でした。

唐突に「Syro」に話を戻すと、Pitchforkに掲載されたリチャードへのインタビューによると、「Syro」は「章の終わり」であって、自分でも特に新しい音だとは思っておらず、これを出して過去をスッキリさせることで次の章に進んでいきたい、というような趣旨の話をしています。「Syro」をきっかけに今後のリリース活動が活発化していくことを期待しています。

そのPitchforkのインタビューは、リチャードの奥さん(ロシア人のAnastasiaさん)が同席してリチャードとインタビュアーの似顔絵を描いている中で行われたというリラックスした雰囲気のインタビューです。いろいろとおもしろい内容だったので、辞書を引き引き読んでみることをおすすめします。愉快なリチャード一家、8年前からスコットランドに住んでるそうで、まだ近所の人にもあまり気付かれずに、気付かれてもさほど興味を持たれずに暮らしてるそうです。

■ A CONVERSATION WITH APHEX TWIN(pitchfork)

「サイロ」、私の息子が思いついた単なる造語だよ。私は意味を知らないし、息子も意味を知らない。どちらも知らない。でも、それは何かを意味している。それがいい。そういうことだよ、基本的に。(笑)とても笑えるんだ。言葉を作ると、皆が彼ら自身の意味を予想するから、そこが面白いんだ。昨晩フォーラム(WATMM)を見たら、すでに10ページに渡って人々が「Syro」を頭文字にして、その意味を予想していた。「Sell Your Rotten Ovaries(お前の腐った卵巣を売れ)」とか(笑)。
以前このビーガンカフェに子供と一緒に入った時に(私のことを知っている人達に)バレたことがあったんだ。 彼らはとても興奮していた。彼らは私と同じテーブルに着いて、すぐそこに座っていた。普通なら逃げ出すような場面だけど、私達はこの密着した状況から抜けられなくなった。その男は私を見つめながら「おぉ、あなたは誰々さんですよね?」って感じだった。私は「yeah」と答えた。私達は注文した食べ物が出てくるのを待って抜けだした。私は「うわ、地獄だったな!」って感じだったんだけど、息子は「Yeah! 父さんが誰かに気付かれてるところを見た!」って感じで、とても幸せそうだった。

Review : 2014年09月24日 00:27

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